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子どもを持つことは、いつからこんなにお金がかかるようになったのか

自然光が差す室内のテーブルに、ノート、計算機、乳児用の靴、家の鍵が置かれている。

家族のかたちと、お金の話

家族をつくることと、
お金のこと。

子どもは欲しい。

けれど、家賃や食費を払った後の残高を見ると、今の暮らしにもう一人を迎えられるのか、不安になる。

その見通しは、生涯にかかる総額だけでは分かりません。

出産や進学で支払いが増える時期と、育休や時短で収入が変わる時期を重ねて見ることが大切です。

公的資料で昔と今を比べながら、妊娠前から大学までの出費、働き方、使える支援を整理します。

最後に、支払いと入金のずれの具体例と、相談メモをまとめました。

統計・制度の確認日:2026年10月8日。

各数値の調査年は本文に記載しています。

目次

「子育ては昔より大変」を数字で確かめる

親の世代とは、物価、働き方、住まい、頼れる人の条件が違います。

負担の変化を一つの年で区切ることはできませんが、物価と賃金・出産費用・家族計画の数字から、いまの不安の背景を確かめられます。

物価の上昇に追いつかない賃金

給料が増えても、生活費の値上がりがそれを上回れば、同じ暮らしを続ける余裕は小さくなります。

名目賃金は受け取る額の動き、実質賃金は物価の変化を考慮した動きです。

2025年は名目賃金が前年比2.3%増に対し、実質賃金は1.3%減でした。

同じ実質賃金の系列では、2022〜2025年の4年連続で前年比がマイナスです。

対象は事業所規模5人以上・就業形態計で、実質賃金は「持家の帰属家賃を除く総合」で調整しています。

総務省の消費者物価指数では、2025年平均の総合指数は、2020年を100として111.9、前年比で3.2%上昇しました。[02]

ただし、食費・車・家賃などへの配分が違うため、すべての家庭の生活費が一律に3.2%増えたわけではありません。

自分の家計では、前年の同じ時期と今の支払いを比べると、どこで負担が増えたかを見つけやすくなります。

補足|賃金のグラフを読むときの注意

図1は、事業所の労働者一人あたりの賃金の動きであり、世帯の手取り収入を表すものではありません。

賞与などを含む現金給与総額を使い、一般労働者とパートタイム労働者を合わせています。

2024年の前年比はベンチマーク更新を踏まえた公表値を使っており、図のために指数から再計算していません。

また、本文の消費者物価指数「総合」と、図1の実質賃金の調整に使った「持家の帰属家賃を除く総合」は範囲が異なります。

出産費用は12年で約10万円増加

厚生労働省の「出産なび」の資料では、正常分娩の平均出産費用は、2012年度の41.7万円から2024年度の52万円へ増えています。

公表値で約10.3万円増、24.7%増です。

52万円は「自分が支払う額」ではありません

室料差額・産科医療補償制度の掛金・その他の費用を除いた平均です。

給付を差し引く前の金額で、施設・部屋・分娩の状況によって実際の請求額は変わります。

費用だけでなく、施設の対応範囲や通いやすさも含め、自分の出産条件で見積もりを確認します。

家族計画に重なる経済的な不安

子どもを望む気持ちがあっても、休業中の収入や復職後の生活が見えなければ、家族を増やす判断は簡単ではありません。

第17回出生動向基本調査では、理想の数の子どもを持たない理由に子育て・教育費を挙げた割合が、2021年の52.6%から2025年の59%へ上がっています。[04]

対象は、予定する子どもの数が理想より少ない、妻が50歳未満の初婚どうしの夫婦で、不詳を除いた比較です。

複数回答のため、年齢・健康・仕事などの事情も重なり得る数字であり、日本の全員の59%が子どもを持てないという意味ではありません。

補足|52.6%と59%の比較について

出典は第17回出生動向基本調査の図表7-7、冊子84ページの注記です。

図表本体には不詳を含む割合もあるため、本文では、前回の公表方法に合わせて不詳を除いた注記の数値を使っています。

異なる年に実施した調査の比較であり、同じ夫婦を追い続けた結果ではありません。

費用そのものが何%増えたかを示す指標でもありません。

子どもを持つか、何人を望むかは、それぞれの人や家族が決めることです。

家計を調べる目的は、その選択を採点することではなく、希望と現実の間で相談できる材料を増やすことにあります。

妊娠前から大学まで、費用が重なる5つの場面

子どもを迎える準備から進学まで、必要な費用は時期によって変わります。

すべての費用が全家庭に発生するわけではありません。

使わないものは外し、施設や学校の候補が決まった項目から、実際の料金と支払日に置き換えましょう。

妊娠前:治療費と通院の負担

不妊治療には保険の対象になる基本的な治療がありますが、適用条件があり、追加する検査・治療の扱いも同じではありません。 [05]

体外受精なら、採卵の料金だけでなく、培養・保管・移植まで見積もりに含まれるかを確かめます。

治療の見積もりは、3つに分けて確認
医療機関への支払い

今回の計画に含む費用と、経過によって追加される費用。

保険・助成と時期

自分の適用条件、申請、各段階の支払日。

通院と仕事の負担

交通費、休業で変わる収入、必要な時間や協力。

採卵から移植までの確認項目は、こちらの記事に詳しくまとめています。

不妊治療の費用と流れを詳しく
体外受精の採卵は痛い?自己注射・費用・顕微授精をやさしく解説 はじめての体外受精ガイド 採卵の前に、知っておきたいこと。 注射のこと。 痛みのこと。 お金のこと。 ひとつずつ整理して、次の診察へ。 まずは治療の流れを見る ↓ 相...

妊娠・出産:まとまった支払いと育児用品

出産の見積もりでは、請求される額・最終的な負担・先に用意する現金を分けると、必要なお金が見えやすくなります。

給付が窓口で差し引かれるか、後日払い戻されるかで、先に必要な現金は変わります。

平均52万円から一律に給付を引いても、自分の追加料金や支払方法は分かりません。

出産先へ持っていく確認メモ
  • 見積もりに含む費用と別料金になる費用。
  • 予約金・退院時などの支払日と支払方法。
  • 出産育児一時金の直接支払制度を利用できるか。

健診・通院の支払いに加え、育児用品は退院直後に必要/暮らし始めてから選ぶ/成長に合わせて買うに分けると、購入時期を整理できます。

借りる・譲り受ける・レンタルする場合も、状態や安全性、使用期間、返却の手間まで比べます。

産後に食事の宅配や家事サービスを使うなら、用品とは別に、利用期間と料金を見込んでおきましょう。

入園・復職:保育料以外にもかかるお金

保育料が予算内でも、お迎えが終業時刻に間に合わなければ、働き方や預け先の調整が必要です。

比べるのは、施設への支払いと、その時間で働いた場合の収入の組み合わせです。

毎月の引き落としだけでなく、入園時や年間の追加費用も案内で確かめます。

小学校に入ると下校時刻や長期休みの過ごし方が変わるため、放課後の預かりが必要なら就学前から利用条件と申込時期を調べておきます。

小学校〜高校:学費と塾・習い事

文部科学省の2023年度「子供の学習費調査」は、学校教育費・学校給食費・塾や習い事などの学校外活動費を合わせた平均です。

図は2026年1月16日公表の訂正版によります。

これは過去の実際の支出であり、2026年度の高校授業料支援拡充後に自分が払う見積もりではありません。

教育費は「必要な支払い」と「選ぶ活動」に分ける
学校から案内される費用
  • 学用品・通学・行事など。
  • 支払う時期と利用できる支援を確認。
家庭で選ぶ活動の費用
  • 塾・習い事など。
  • 月謝+教材・道具・発表会・移動を含め、目的と続ける期間を相談。

平均額は、すべての家庭がそこまで支出すべき基準ではありません。

習い事は始める月の金額と、続けるための年額を分けると、初月の安さだけで判断せずに済みます。

補足|学習費の金額と調査の範囲
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学校段階公立・年額私立・年額
幼稚園184,646円347,338円
小学校366,599円1,741,516円
中学校542,450円1,560,359円
高校(全日制)596,954円1,179,261円
2023年度・子ども一人あたりの年間学習費

学習費調査の金額は、各学校段階で実際に支出された費用の平均です。

家計の収入や通う学校、地域、学校外活動の利用状況によって、個別の支出は変わります。

将来の進路が決まっていない段階では目安として使い、候補の学校が決まったら募集要項や学校の案内に置き換えます。

授業料の支援制度が変わっている場合も、過去の学習費総額から一定額を一律に引いて、現在の自己負担を求めることはできません。

大学進学:学費に住まいと生活費が加わる

日本学生支援機構の2024年度学生生活調査では、大学昼間部の年間学生生活費は201万9,100円でした。[07]

内訳は学費122万1,800円、生活費79万7,300円で、2022年度の182万4,700円より約19万4,400円増えています。

スクロールできます
住まい方年間の学生生活費
自宅1,801,300円
下宿・アパート等2,342,900円
2024年度・大学昼間部の居住形態別平均

学生本人の収入や奨学金も関わるため、全額を保護者が負担しているという意味ではありません。

居住形態別の数字は異なる学生集団の平均で、差額をそのまま一人暮らしの追加家賃とは読めません。

また、小学校〜高校の「学習費」とは対象・範囲が違い、学生生活費に家賃や食費を丸ごと足すと二重計上になる点にも注意します。

支援の申請時期は、入学前から学校の窓口で確認します。

支払期限と、奨学金や減免が反映される時期は一致するとは限りません。

進路が未定なら、自宅通学と家を離れる場合の二通りを置き、候補が決まってから実際の金額へ近づけていきましょう。

家計を左右するのは、出費だけではない

出産費用を用意できても、休業中の入金や、復職後の迎えの時間が見えなければ、不安は残ります。

家計には、働ける時間と、その働き方を続けるための費用も関わります。

自宅で仕事をする大人と、子どもの身支度を手伝う大人を描いたイラスト。
仕事とケアを、生活の時間割で考える

育休・時短で変わる毎月の入金

育休前・休業中・復職後では、入ってくるお金と必要な支出が変わります。

賞与や残業代、使える制度は勤務先や雇用形態などで異なるため、今の手取りが続く前提を置かず、自分の条件で確認します。

給与が戻っても、延長保育や送迎の費用が増えれば、以前と同じ余裕になるとは限りません。

比較するのは、働き続けるための費用を払った後に残るお金です。

ただし、仕事で積み重ねる経験や将来の希望もあるため、目先の差額だけで働き方を決めないことも大切です。

共働きなら二人の休業・勤務時間を組み合わせ、一人で担う場合は利用できるサービスと職場の調整を具体化します。

復職を支える雇用と保育の条件

第17回出生動向基本調査では、第1子の妊娠判明時に働いていた妻のうち、子が1歳の時点でも働いていた割合が、2015〜2019年出生の層で69.9%、2020〜2024年出生の層で80.5%でした。

対象は初婚どうしの夫婦で、同じ勤務先・労働時間・賃金を維持した割合ではありません。

2020〜2024年出生の層を妊娠前の雇用形態別に見ると、正規の職員は88%、パート・派遣等の非正規雇用は56%でした。

この差だけで原因は特定できませんが、働き続ける条件が一様ではないことが分かります。

復職日だけでなく、続けられる条件まで
仕事

勤務時間・契約の見通し・繁忙期

保育

利用時間・行事・病気のときの対応

生活

体調・送迎・交代できる人や預け先

平均の継続率を自分の見込みにせず、数か月後も無理なく続けられるかを、具体的な日程で確かめます。

補足|就業継続率が示している範囲

本文と図4は、初婚どうしの夫婦について、第1子の妊娠判明時と、子どもが1歳時の妻の就業状態を用いた集計です。

出典は第17回出生動向基本調査の図表9-4、冊子96ページです。

転職などを含む就業の有無を見る指標であり、同じ職場に残った割合、同じ労働時間や賃金を維持した割合ではありません。

個々の人が仕事を続けられる確率や、続けるべきだという基準として読むものでもありません。

働く時間をつくる送迎・家事・育児の分担

総務省の2021年社会生活基本調査では、6歳未満の子どもがいる夫婦と子どもの世帯で、1日あたりの家事関連時間は、夫が1時間54分、妻が7時間28分でした。[08]

共働きだけの集計ではなく、家事関連時間には家事、介護・看護、育児、買い物が含まれます。

個々の家庭に数字を当てはめるより、生活の流れに沿って、誰がどの時間を支えるかを確かめてみてください。

迎えや通院の担当には、実際の作業だけでなく、予約・準備・職場への連絡まで含めると、段取りの負担も分けられます。

急な呼び出しには、別の予定を
  • 最初に対応する人と、交代できない日の連絡先を決める。
  • 頼れる相手には「火曜の夕方」など、曜日と内容を具体的に相談する。

在宅勤務でも仕事と保育を同時に担えるとは限らないため、勤務時間中の預け先は別に考えます。

生活の流れを想像したいときは、オールドダディの「選択的シングルマザーの一日」も、自分との条件の違いを踏まえて参考にできます。

暮らしの流れをイメージする
選択的シングルマザーの一日 - 養育費を支払う精子提供ドナー ― 子どもと共に歩む、等身大の暮らし ― 「結婚はしないけれど、子どもを育てたい」そう決意して母になる女性を「

同じ年収でも、子育ての負担が違う理由

同じ年収でも、毎月の固定費、送迎の時間、急なときに頼れる人が違えば、暮らしの余裕は変わります。

集合住宅、鉄道、戸建て住宅と地域の施設を、歩く道でつないだイラスト。
住まい・交通・地域のサービスを合わせて考える

家賃の安さだけでは決まらない住まいの負担

家族が増えて住まいを変える場合は、今の住居費と新たに増える分を分けると、生活費の二重計上を防げます。

2025年の消費者物価地域差指数では、全国を100とした総合の指数は、東京都が104.2、群馬県が96.2でした。[09]

住居の指数では、東京都が129.8、岡山県が79.1で、総合より大きな地域差が見られます。

これは同じ年の地域間比較で、前年からの値上がり率や住宅購入価格の比較ではありません。

持家の帰属家賃を含まず、個々の家庭の支出が指数どおりになるわけでもありません。

住まいを比べる二つの条件例
家賃を抑えられる
  • 追加費用:車・駐車場・燃料・整備
  • 時間:通勤と送迎の移動
  • 人の支え:実際に頼める曜日
家賃は高く、移動は短い
  • 減らせる可能性:移動費・移動時間
  • 確認:保育時間・呼び出しへの対応
  • 比較:家賃差をほかで補えるか

都市と郊外の優劣ではなく、家賃・交通費・サービス利用料と、毎日の移動時間を合わせて比べるための例です。

転居する場合は、自治体の支援だけでなく、転入前後の手続きと利用開始時期も確認します。

ひとりに重なりやすい仕事と子育て

ひとり親世帯では、収入を得る役割と子どもの世話が一人に重なり、急な休みが勤務時間や収入に響く場合があります。

2021年度の全国ひとり親世帯等調査では、母子世帯の母自身の平均年間収入は272万円、平均年間就労収入は236万円でした。[10]

同居親族などを含む世帯全員の平均年間収入は373万円で、母自身の収入とは別の指標です。

いずれも2020年の収入を集計した値で、現在の各家庭の暮らしを表すものではありません。

金額と一緒に、時間と代わりの手段を
お金
  • 収入が減る時期
  • 利用できる手当・就労支援
時間
  • 勤務と送迎の重なり
  • 通院・付き添いの時間
代わりの手段
  • 急な休みの職場調整
  • 頼れる人・利用できる預け先

児童扶養手当だけでなく、就労・保育・住まい・学び直しの相談を、困りごとに合わせて組み合わせます。[11]

窓口には年収に加え、勤務時間、子どもの年齢、対応できない曜日や時間帯を伝えると、必要な支えを整理しやすくなります。

相談相手や子どもの将来への不安には、オールドダディのnoteにある、ひとりで育てることへの考えを綴った記事もあります。

オールドダディのnote
シングルマザーで子育てするのが不安な方へ。|オールドダディ/養育費を月10万円支払う精子提供ドナー 不安で当然だと思います。 ひとりで子どもを育てる。経済的なこと、精神的なこと、周りの目のこと。考えれば考えるほど、不安は膨らんでいきます。 その不安を「大丈夫です...

きょうだいの進学が重なる時期

きょうだいで共有できる用品がある一方、進学が重なると、同じ春に大きな支払いが集まります。

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重なる節目まとめて必要になるもの先に確かめること
大学入学+高校入学入学金・授業料・制服・教材・転居支払期限と支援の反映時期
入園+小学校入学用品・学用品・送迎・放課後の預かり二人の時間割と勤務時間
同じ活動を始める月謝・道具・行事・交通費共有できる物と一人ずつ必要な物
きょうだいの費用が重なる場面の例

子どもごとの総額だけでなく、同じ年・同じ月に横へ並べると、準備が必要な時期を見つけられます。

通院・付き添いで増える時間と支出

子どもの健康や発達、家族の介護によって、通院・移動・付き添いの費用と時間が増えることもあります。

他の家庭にない支出でも、家族に必要なものを先に置いて、その条件に合う支えを探すことが大切です。

窓口では「通院のために勤務を減らしている」など、制度名より生活上の困りごとを伝えてかまいません。

サービスは料金だけでなく、通える場所か、必要な日に使えるか、事前登録・面談が必要かまで確かめます。

他の家庭と比べるときも、支出の大小より、どんな条件や支えで暮らしが成り立っているかが参考になります。

子育て支援で軽くなる負担、残る負担

支援の総額だけでなく、「何に使えるか」「いつ家計に届くか」まで確認しましょう。

現金給付、料金の減免、サービスの利用では、軽くなる負担も手続きも異なります。

妊娠・出産:給付と窓口で払う金額

妊娠・出産の支援は、窓口も受け取り方も別

健診費を軽くする (妊婦健診の公費助成)

  • 助成範囲・手続きは自治体ごとに確認。[12]
  • 検査等の自己負担や、里帰り先での立て替え・払い戻しも確認。

現金を受け取る (妊婦のための支援給付)

  • 妊婦給付認定後に5万円+妊娠している子どもの人数の届出後に人数×5万円。[13]
  • 住民票のある市区町村へ申請・届出し、受け取る時期も確認。

出産費用に充てる (出産育児一時金)

  • 原則50万円・実額や対象条件は加入先へ確認。
  • 直接支払制度を使う場合は医療機関へ支払われるため、窓口負担を施設・保険者に確認。

健診の受診券があっても、毎回の支払いがゼロになるとは限りません。

出産先には、予約金・退院時の精算などの金額と支払日を聞いておきます。

施設の見積もりで差し引いた一時金を、家計でもう一度差し引かないようにし、自治体の給付は実際の入金時期に置きます。

児童手当・保育:受け取るお金と残る出費

児童手当は所得制限がなく、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子どもを養育している人が対象です。[14]

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子どもの年齢第1子・第2子第3子以降
3歳未満月額15,000円月額30,000円
3歳以上〜高校生年代月額10,000円月額30,000円
児童手当の月額(2026年10月確認)

第3子以降の数え方には、上の子の年齢や生計費の負担などの条件があります。

月額で決まる手当でも、入金は原則として偶数月に2か月分ずつなので、毎月の給与と分けて予定に入れます。

申請先は原則として市区町村、公務員は勤務先です。

保育料の無償化でも、残る支払いがある
対象

原則3〜5歳児クラス、住民税非課税世帯の0〜2歳児などの利用料。[15]

条件

幼稚園の開始時期、施設の種類、保育の必要性の認定などで扱いが異なる。

別途確認

食材料費・通園費・行事費・延長利用などの請求と、自治体独自の支援。

育休・時短:給付が入るまでの準備

雇用保険には、出生時育児休業給付金、育児休業給付金、出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金があります。[16]

対象者・期間・支給要件・計算方法が異なるため、現在の手取りに単純な割合を掛けず、基準賃金・上限・休業中の給与を確かめます。

自営業・フリーランスの方は、会社員と同じ給付を前提にせず、自分の加入制度を確認してください。

高校・大学:授業料の支援と対象外の費用

授業料の支援と、別に用意する費用
高校の授業料支援
  • 2026年4月から高等学校等就学支援金の所得制限が撤廃。[17]
  • 確認:対象校、国籍・在留資格などの要件、支給上限、申請。
  • 別の出費:教材・制服・通学・行事など。
大学等の授業料・入学金
  • 2025年度から、扶養する子どもが3人以上の多子世帯への減免を所得制限なしで一定額まで拡充。[18]
  • 確認:扶養の数え方、対象機関、学業等の要件、上限。
  • 別の出費:上限を超える分、住居・食事・通学など。

子どもが3人いるだけで、大学等の在学中ずっと同じ支援を受けられると決まるわけではありません。

奨学金は、返還不要の給付型と原則返還が必要な貸与型を分け、入金前の支払いと卒業後の返還も見通します。

授業料の減免とは別に整理し、将来の進学では、その時点の条件を改めて確認してください。

家計の不安を、次に確かめることへ変える

すべての制度を覚える必要はありません。

自分の予定に関係する費用を選び、まだ分からないことを相談できる形へ変えていきましょう。

入金と支払いを並べる3ステップ

これから1年の家計を、月ごとに並べる

STEP
入金の月と額を書く

給与・賞与・給付を入る月へ記入する。

休業・時短の条件を反映し、未確認の給付は確定収入と分ける。

STEP
支払う月に費用を置く

生活費に、出産・引っ越し・復職・入園・入学の支払いを重ねる。

年額を12で割るだけでなく、実際の期限で並べ、重複計上を確認する。

STEP
不足する月を見つける

手元資金で対応できる範囲と、金額・支払時期の相談が必要な項目を分ける。

妊娠・復職・進学などの節目に更新する。

次は仕組みを示す仮の3か月例で、最初に使える準備資金を10万円とします。

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1か月目2か月目3か月目
その月の入金30万円10万円55万円
その月の支払い25万円45万円20万円
準備資金+累計収支15万円−20万円15万円
説明用の仮定:平均家計や、特定の給付額・振込予定ではありません。

入金95万円−支払い90万円で合計5万円の黒字でも、2か月目には準備資金を含めて20万円不足します。

マイナスは計算上の不足額であり、そのまま口座から支払えるという意味ではありません。

受給の見込みだけで支払いを約束せず、手続きと入金時期が分かったところから予定を更新します。

困りごとから選ぶ相談先

制度名を調べきる前でも、「いつ、何に困りそうか」から相談できます。

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困りごと最初の相談先確認すること
治療・出産の支払い受診先・出産先/加入する健康保険自分の予定で、いつ、いくら必要か
妊娠中・子育ての給付住民票のある市区町村年齢・家族構成に合う支援と申請期限
休業中の入金・復職勤務先/ハローワーク等給付・給与・初回申請の見込み
保育・放課後の預かり市区町村/利用施設必要な曜日・時間に利用できる条件
入学前の支払い在籍校/進学先支援の反映前に払う費用と期限
一人で担う育児市区町村のひとり親支援等の窓口勤務・送迎の両立に使える支え
最初の問い合わせ先と、聞いておきたいこと
相談メモに残すこと
  • 自分の予定
  • 確かめたい額や日付
  • 必要書類と締切
  • 未確認の点

回答が得られたら家計の仮の数字を置き換えます。

家族との話し合いも、その日に決めることを一つに絞れば、全体の答えが出る前から進められます。

家庭だけで抱え込まないための支え

家計を整理しても、賃金や保育の受け皿、休業の取りやすさまで家庭だけでは変えられません。

制度があっても、利用時間が仕事と合わず、手続きや相談に時間を取れなければ、助けにつながりにくくなります。

一人の親がすべてを調整したり、必要な支出や休息を削り続けたりすることを、解決の前提にしないことも大切です。

まずは、出産先の見積もり、復職後の時間、進学の支払日など、見通しを左右する一項目から確かめてみてください。

子どもを迎えるかどうかの答えを急ぐためではなく、相談し、自分たちで選ぶための材料を増やすことが、この家計整理の目的です。

参考資料・出典

本文・図表で使用した公的資料をまとめています。

[01] 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025年分確報・長期時系列表」

[02] 総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年平均」

[03] 厚生労働省「出産なび」リーフレット

[04] 国立社会保障・人口問題研究所「第17回出生動向基本調査(2025年)結果の概要」

[05] こども家庭庁「不妊のこと DICTIONARY:保険適用について」

[06] 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査 結果の概要」

[07] 日本学生支援機構「令和6年度学生生活調査結果」

[08] 総務省統計局「社会生活基本調査からわかること」

[09] 総務省統計局「2025年消費者物価地域差指数」

[10] こども家庭庁「令和3年度全国ひとり親世帯等調査の調査結果」

[11] こども家庭庁「児童扶養手当について」

[12] こども家庭庁「妊婦健診に関する取組み」

[13] こども家庭庁「妊婦のための支援給付」案内

[14] こども家庭庁「もっと子育て応援!児童手当」

[15] こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化 概要」

[16] 厚生労働省「育児休業等給付について」

[17] 文部科学省「高等学校等就学支援金制度に関するQ&A」

[18] 文部科学省「高等教育の修学支援新制度」

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